4-2.衛生医療情報

令和7年2月10日

1)衛生事情

 当国の衛生状態は,長引く政治・経済の混乱のために改善が乏しい状況です。首都ハラレ市であっても,インフラが老朽化しており,上下水道の整備は不十分で,電力供給も不安定な状況です。このため,ハラレ市の人口密集地区では,生活用水の汚染等により,コレラや腸チフスといった経口感染症の集団発生がたびたび起こっています。

2)医療事情

(1) ハイパーインフレ以降,医療関係者の頭脳流出が続き,更に逼迫する経済情勢もあいまって,当国の医療水準は低下しています。公的医療機関は,医療資材や医療スタッフの不足が恒常化しており,邦人の利用には適しません。ハラレ市であれば,ある程度医療設備の整った私立病院がありますが,そこでも高度な専門治療を行うことは困難です。このため,重篤な病気やけがをした場合には,南アフリカ等の国外の医療機関への移送が必要となりますので,当国に滞在される方は,医学的な緊急事態に備えて国外への緊急移送費をカバーできる海外旅行傷害保険に入られておくことを強くお勧めします。
(2)当国内では医薬品の在庫不足が深刻であり、推奨されるワクチンは必ず渡航前に本邦にて接種しておくことを強くお勧めします。成人に対する渡航前接種推奨ワクチンは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、腸チフス、コレラとなります。
 

3)かかりやすい病気

図1:ジンバブエ マラリアリスク層別化地図 2015
(1)経口感染症
 病原微生物に汚染された食べ物や水を口から摂取することでおこる病気を経口感染症といいます。当国でかかりやすい経口感染症には,コレラ,腸チフス,細菌性赤痢,A型肝炎などがあります。
 なかでも,コレラは当国で繰り返し集団発生しており,2008年には4000人が死亡する未曾有の大流行が起こりました。最近では2023年2月からコレラのアウトブレイクが全国に拡大し,政府が災害事態宣言を発令して対応にあたる流行がおこり収束まで一年以上を要しました。また,同様に腸チフスも,国内各地で集団発生がたびたび報告されています。
 このように当国においては,経口感染症のリスクは常に存在するものとして,予防対策をしっかりと行ってください。具体的には,まず,手洗いを励行してください。飲み水については,ボトル入りの水を購入するか,水道水や井戸水は水質汚染のリスクが高いため、煮沸したものを飲み,生水を飲まないようにしてください。外食する際には,屋台など不衛生な店は避け,信頼できるレストランを利用してください。また,当国では停電の頻発によりコールド・チェーン(冷蔵運搬,冷蔵保管)は必ずしも維持されていないため,食材を買い求める際には鮮度に注意してください。卵や肉類はしっかり加熱するよう気をつけましょう。
 
(2)マラリア
 当国は熱帯熱マラリアの発生地域です。首都ハラレを含めて標高が1,300メートルを超える地域でのマラリア感染のリスクは少ないと言われていますが,これより標高の低い地域では感染のリスクが高くなります(図1)。ビクトリア・フォールズやカリバ湖周辺などのザンベジ川流域の観光地では,年間を通じてマラリアの発生が報告されています。ここ数年,マラリア発生が増えるのは雨期に入ってからの1月~6月です。
 マラリアは,ハマダラカの吸血によって感染します。蚊に刺されないようにすることがマラリア予防策の基本であり,マラリア流行地へ出かけるときには,防蚊対策(明るい色の長袖・長ズボン,靴下の着用,昆虫忌避剤の使用,蚊帳の使用,夜間の不要な外出を控える等)を必ず行ってください。訪問地と滞在期間ならびに活動形態によっては,マラリア予防薬の内服が勧められますので,渡航前に医師と相談されてください。
 熱帯熱マラリアは,治療が遅れると命にかかわるため早期の受診が重要です。マラリア流行地に入ってから7日目以降にマラリアを疑う症状(高熱,頭痛,悪寒,関節痛等)が出た場合には、速やかに医療機関を受診して検査を受けてください。

4)詳細な衛生医療情報

当国の詳細な医療衛生情報につきましては,こちらの「世界の医療事情」のページをご参照ください。